作:槙 ひろし
絵:前川 欣三
出版者:福音館書店
発行年:2000年
対象年齢:3歳~ 1人で読むなら5歳~
ページ数:32P
見どころと感想
ある日、主人公の男の子まさお君の帽子についていたいもむしの青虫くんが、ひたすら見境なく食べ続けた結果のお話です。
最初は紙くず、ごみなどを食べるので便利なのですが、食欲が満たされることはなく満足しない青虫くんは家具に家、次第に町から国までどんどん飲み込んでいっていまいます。
あおむしくんが通った道には何も残る物が無く、ただ青い空が広がっているだけ。
著者が絵画教室の子どもたちに語っていたお話の中から生まれたと言われている奇想天外な不思議な絵本です。
物語の内容と結末のインパクトが強く、大人でも考えさせられる深い作品です。
まるまるいもむしの可愛らしい表紙の絵とは対照的に内容は少し怖いので、対象年齢は3歳からと表示されていますが、5歳や6歳ぐらいになってからの方が絵本の内容は入りやすいかもしれません。
紙くずやゴミなど要らないものも食べてくれますが、町や森、次第に人まで必要なものも食べてしまうので、人間の欲望に置き換えて考えると深い内容かもと感じました。

最初は善意で良い事をしていたとしても、そのうち悪いことに変わるかもしれないし、本人に悪気が無いことでも、他人からすると迷惑なことをしているかもしれません。
この絵本を読み聞かせる時にそういう風に置き替えて、例え話を交えながら、お話してあげると、良い事と悪いことの区別、主観ではなく多方面から物事を考える、他人の立場になって考えてみるなど広い視野を持てる様になるかもしれません。
何でも食べる=何でも欲しい、欲望のままに生きていたら、最後は友達もいなくなって自分独りぼっちになってしまう。
人の欲というものを上手に表現した素晴らしい作品だと思います。
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