シリーズの1作目、うさこちゃん「ミッフィー」が誕生する絵本です。
知らない人の方が少ないと思われる有名なうさぎのミッフィーちゃんのはじまりを描いた物語です。

文・絵:ディック・ブルーナ
訳:いしい ももこ
出版社:福音館書店
発行年:1964年
対象年齢:2、3歳~
ページ数:28ページ
見どころと感想
生まれるって、こんなに素敵なことなんだということ、それだけを分かりやすく丁寧に描いているように感じました。
ある日、夫婦のもとに天使のお告げがあります。
うさこちゃん「ミッフィーちゃん」をお腹授にかったというお告げです。
うさこちゃんが生まれた時には、町中の住人が祝福し、会いにやってきます。
うさこちゃんは、みんなに望まれて生まれてきたことが分かります。

ぜひ、お子さんに読み聞かせしている時に「○○が生まれた時も、うさこちゃんと同じように、たくさんの人が喜んでくれたんだよ。」と言いながら読んであげてください。
産まれてきて良かったんだとお子さんが実感し嬉しくなる、そんな微笑ましい内容のお話です。
世界40言語以上に翻訳され世界中の子どもたちに愛されている「うさこちゃんシリーズ」ですが、最も多く読まれている国は、ミッフィーちゃんの生まれ故郷オランダではなく、日本だそうですよ。
この絵本には小さな子でも読んでもらえるように、様々な工夫がされています。
次の文に、その有名な工夫をいくつか記載しています。

ちなみにこの絵本を読めば、うさこちゃん「ミッフィーちゃん」のお父さんとお母さんの本名が分かりますよ。
うさこちゃんシリーズは、子どものために作られた理想の絵本!
うさこちゃんの生みの親であるディック・ブルーナさんの絵本は幼い子どもでも読める様にと様々な工夫が散りばめられています。
いくつか例を挙げると
・絵本の全ての登場キャラが正面を向いている
・文字とイラストが見開きページに収まっている
・子どもの視力を考えて太くはっきりした輪郭にしている
・ブルーナカラーと呼ばれる見やすい色合い
・読みやすいように両手に収まる絵本の大きさと軽い重量
これらどれもが子どものために考えて作られた工夫です。
出典:ディック・ブルーナさんの講演会より本人談
正面を向き合って、目を見るところから対話は始まり、対話によって相手の気持ちも分かる。だから、こどもたちの友達のうさこちゃんはいつでも正面を向いて真っ直ぐこちらを見つめているんです。
絵本のキャラクターが全員正面を向いて文字とイラストが1つの見開きに収まっているのは、まだ視線を上手く動かせない赤ちゃんでも楽しめる様にすることの他に、キャラクターと対話するためだったんですね。
ブルーナカラーと呼ばれる赤、青、黄、緑、白、黒の6原色は、まだ視力が完全ではなく景色が全体的にぼやけている様な小さな子でも分かりやすい色彩である様です。
ブルーナカラーと呼ばれる色使い、くっきりはっきりとした黒の輪郭、常に正面を向いているキャラなど、この絵本に使われている知恵と技術のすべてが赤ちゃんに適した絵であると様々な研究が明らかにしているそうです。
子どものために作られた絵本、生まれてきた喜びや感動を実感できるお話、キャラクターと対話している感覚になれる工夫など、この絵本を読めば、きっとお子さんも、うさこちゃんと良い友だちになれる。
そんな温かい絵本です。
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