作: 中川 李枝子
絵: 大村 百合子
出版社: 福音館書店
発行年: 1967年
対象年齢:3歳~ 一人で読むなら小学生~
ページ数:28ページ
見どころと感想
あの誰もが知っているであろう不朽の名作絵本『ぐりとぐら』の著者コンビである中川李枝子さん&大村百合子さんが同じ年に出した作品です。
あらすじをザックリ言うと、主人公の男の子「ゆうじ」と森のきつねが自身の宝物同士を交換することから物語が始まります。
そらいろのたねとは、最初きつねが持っていたもので、主人公の宝物である飛行機の模型を、きつねが欲しがったことから、交換することになり、そこから物語が始まります。
ゆうじは、そらいろのたねを一生懸命に育てて、大きな大きな家を咲かせます。
大きく成長した家には、森のおともだち、町じゅうの子どもたち、たくさんの動物たちまで遊びにやってくるという、とても夢のあるお話です。

最後は、きつねが種は自分のものだったのだから、咲いた家を返してほしいと言ってくるところなど、少し猿カニ合戦に似ています。
読んでいて発芽した家が水やりしたり太陽の光を浴びて、ぐんぐんと大きくなっていくところは、どの子も、とてもワクワクして読めると思います。
最後は、きつねが育った家を独り占めしようとして、みんなを家から追い出すなどイジワルなところもありますが、そのあと家は消えてしまうので、欲張ったり、独り占めしては良くないことを小さな子どもにも自然と教えてくれる教養本にもなっています。
1歳児や2歳児など、いけないことを伝えるのが難しい年頃のお子さんにオススメです。
みんなで仲良くすること、ともだちは大切にしなくてはならないこと、自分の宝物は簡単に手放してはいけないことなど、たくさんの人生の教訓を、絵本の物語を通して教えてくれます。
また、お子さんが大好きなあのキャラクターがゲストとして、ちゃっかり登場しているのも楽しみのひとつです。
そして、子どもだけでなく大人も楽しめるところが、親子で読む絵本として、うってつけの理由があります。
それは、子どもの頃に誰もが一度は思った秘密基地を思い出すこと。
自分で育てた大きな家は、自分と仲間たちだけの、まさに秘密基地。
ご両親の皆様も、この絵本を通して、子供の頃の懐かしい夢や思い出が蘇って楽しめると思います。
ぐりとぐらと同じ優しいタッチと物語のワクワク、ドキドキする展開、夢のあるファンタジーな世界は、子どもたちの創造力と優しい気持ちを育てる、これからも読み継がれていって欲しい親子にオススメの一冊です。
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