かさじぞうの見どころと感想

有名な昔話「かさじぞう」の世界観を壊さずに、そのまま絵本にした様な作品です。

出典元:著者:瀬田 貞二 絵:赤羽 末吉 出版社:福音館書店

著者:瀬田 貞二 
絵:赤羽 末吉
出版社:福音館書店

発行年:1966年

対象年齢:4歳~ 一人で読むなら:5歳~
ページ数:20P

見どころと感想

笠「頭に被るもの」売りの貧しいおじいさんが雪の降る日の道中で6人のお地蔵さんに出会い、優しい心から商売品の笠をかぶせてあげるお話です。

貧しいながらお地蔵さんに笠をかぶせてあげるおじいさんの優しさ、売り物の笠をお地蔵さんに被せたことを怒るどころか自分の事のように喜んでくれるおばあさんの心の広さと優しさ、6人のお地蔵さんの恩返しと見どころ満載で、子どもから大人まで楽しめる絵本です。

他の昔話でよく出てくる「いたずら者」や「ひねくれ者」が一切出てこないので、こらしめるシーンなどが無く、登場人物は善人ばかりです。

老夫婦の全く見返りを求めずに正しい行いをしたということに、「良いことをすれば自分に返ってくる」という昔からの教訓と「人に優しくすることの大切さ」を学べる作品です。

水墨画の美しさ

この絵本はグレーと青を基調とした水墨画風でイラストや風景が描かれていて、扇形のコマの中にお話が描かれているので、本当に昔話を読んでいるという気分にさせてくれます。

出典元:著者:瀬田 貞二 絵:赤羽 末吉 出版社:福音館書店

あえてカラフルに描かないことで冬の寒さと厳しさを表現し、雪の銀世界を際立たせ物語にリアルさが生まれている様に感じました。

昔話にピッタリ合った文章と絵のタッチ

かさじぞうの絵本は、たくさんの出版社から出ていますが、赤羽さんと瀬田さんコンビのこの絵本は自信を持ってオススメ出来る作品です。
絵担当の赤羽さんは画家で、絵本の絵をリアルに描くために、雪の寒い中に何度も取材に行き、何千枚もの写真を撮られたそうです。
それほどこだわって描かれたこの絵本は、しんしんと降り注ぐ雪の寒さから、猛吹雪の景色まで3Dの様に伝わる現実感があります。

著者の瀬田さんの文章も今風の分かりやすい言葉ではなく、昔話にマッチした言葉選びをされているため、昔話の世界観を存分に感じられます。

「むかーし、むかし」から始まり、昔の話言葉をそのまま表現しているため、お子さんに言葉の意味を聞かれた際はスマホで調べて教えてあげてくださいね(笑)

赤羽さんの味わいあるこだわったイラストに、瀬田さんの昔話を読んだんだという余韻ある文章が見事に調和した名作です。 現代の様に、たとえ物は溢れていなくて貧しくても心は豊かな日本人の優しさを肌で感じさせてくれます。

小さい子に思いやりの大切さを教えるのはなかなか難しいものですが、この絵本はお話を通じて、とても解りやすく自然に伝えることが出来ると思います。
この絵本を読んで聞かせて、老夫婦やお地蔵さんの様に心豊かな優しい想いやりをぜひ育ててあげてくださいね(^^♪

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